クララの銃剣道の旅 41〜43日目

2017年8月31日

今日はポーランドでは夏休みの最後の日だ−でも私はいま世界の反対側にいて、そこはまだまだ暖かい服のことなんて思いもしない場所なのだ。何だか信じられない。10月にポーランドに帰ったらさぞ辛いことだろう。ポーランドで10月といえば、もう雪が降ってもおかしくない時期だ。この気温差に対する準備は決してできないだろう。

それはさておき、今日は春日井で稽古したが、新しいメンバーが加わった。その先生は試合での数多くのトリックを袖の下に忍ばせているのだ。私は肋骨の左側付近の筋肉を引っ張るかどうかして(人間の体って不思議)、受ける時に大きな痛みを伴うようになってしまった。その結果、防具を脱いで痛みを和らげるよう言われるまで、銃剣道の形をやり、いくつかの基本動作と数回の掛かり稽古をしたのみだった。

ところで、トリックについて記しておこうと思う。私の知っている唯一の武道と言えば剣道だが、剣道の構えは正面を向く。そのため、三人の審判は多かれ少なかれ打突の正しさを見ることができる。一方、銃剣道と短剣道では、半身の構えなので、一人の審判(或いは二人。彼らがどの位置に立つかによる)は旗を上げるかどうかの決定的な側面を見逃す傾向にある。短剣道においては、相手を腕で抑えつけた時、自分の素晴らしい突きがしっかり審判の目に入る場所まで動かす方法があるということを学んだ。或いは、審判が細部が見えなくてもポイントを与えるように、自分の突きが力強いと思わせる方法もある。と言っても、これらはあくまで「トリック」であり、経験の浅い私は試すことすらできないのだ。だから私は基本に徹し、これらのアドバイスは、将来のために記憶の奥深くにしまっておこう−もし将来必要になれば思い出すだろう。

 

2017年9月1日

学校が始まった! 私たちには関係ないけど。だって、私は既に集中コースに入っているんだから。今日は春日井体育館に戻った。体育館は広いし、私はここが好きになってきている。昨日お会いした先生は、今日も私たちの稽古に加わってくださったので、沢山のためになるアドバイスと、いくつかのクレイジーな動きを一緒くたにした、エキサイティングな稽古になった。この先生は本当に試合を中心に考えているが、基本ももちろん素晴らしく、私たちの上達を妨げる小さな逃げを打つ動きを見逃さない目を持っている。そういう無駄な動きの結果、効果的で力強い突きが妨げられるのだ。最近は短剣道をより多くやるようになっている。今のところ銃剣道が私の唯一愛するものだが、私の弱いところを(短い棒で)改善するのもやぶさかではない。

ここの先生たちが本当に本当に大好き! 彼らは人として素晴らしく、私が日本語を話せなくても、辛抱強く接してくださるし、私がベストを尽くしているのを見て、とても喜んでくださるのだ。さらに私が上達するたびに、その上達がたとえほんの少しだったとしても、彼らは私に勝者の気分を味わわせてくれる。先生たちのおかげで私はモチベーションを維持し、集中し続けている。本当に素晴らしい先生方に恵まれ、言葉では言い尽くせないほど感謝している。心からありがとうございます。

 

2017年9月2日

今が何月何日とか、そんなこと今やはただの数字と仮し、時の経過は何回稽古したかで知るような毎日となっている。今日は知多まで行き、私が名付けたところの「ホット道場」を訪れた。そこは文字通りサウナを思わせる暑さなのだ。久恒先生は、以前のブログで書いたことがある素晴らしい先生の一人。今回はその稽古に加わった。銃剣道の基本を行ったが、今回は足捌きや足の位置と言った基本の基本に彼らを付き合わせることになった。

私の頭と体はアナロジーと相性が良いので、後ろ足で想像上のボールを蹴る、という表現は非常にわかりやすかった−これによって力の移動が行われ、左足(ふみ鳴らす方)に続く右足の素早い動きが可能になる。私は未だに、自分の構えと突きが曲がっているという強迫観念みたいなものを覚える。それを克服するためには、ひたすら稽古し、一つ一つ直して行くしかない。自分の左足を真っ直ぐに安定させるためにどれほどの時を要したのかよく覚えている。沢山反復練習し、気をぬくと楽な方へと後ろに行こうとする自分の筋肉や関節と戦いながら、改善してきたのだ。はぁ。休憩の後は、短剣道。基本から試合で使える動きまでを練習した。今日の一番重要なアドバイスは、まるで簡単なことをやっているかのように、リラックスすること。特に、先生を失望させたくなければ。ありがたいことに、先生方は今日学んだ動きがどれだけ難しいかご存知だ。私がバカな失敗をすると、彼らはみんな笑ったが、それにとても助けられた。

これは、銃剣道ワールドの翻訳者でゲストライターのクララによる目下進行中の連載である。銃剣道を始めたばかりの彼女と、彼女のパートナーであるルーカスが、3ヶ月に渡る日本滞在の中で、銃剣道の稽古をしていく様子を定期的に投稿する。

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