コメント:サイモン・ラースン
下段から直接喉への突き。滝沢のエキサイティングな攻撃で試合が始まった。下段から喉の突きはリスクが高いが、松浦は開始直後動きが緩慢だったので、ほぼ決まりそうだった。しかしどの審判旗も全く動かなかった。銃剣道・短剣道の審判は初一本を好む気がするが、それにも関わらず旗が上がらなかったのは、今回の攻撃については、あまりに突進しすぎていたのかもしれない。
アルソックの松浦は、猛烈な速さで動くが、滝沢の返しも素晴らしい。50秒に見られる交戦では、滝沢が返しで多くの攻めを見せている。
全日本銃剣道優勝大会の後、柳沢先生から多くのご指導をいただいたが、その中の一つのポイントとして、自分が後退/残心を行おうとしているときに、敵が突いてくれば不安になる。我々はそんな状況で打ち返す練習を取り入れている。これが返しである。
昆野先生と返しの稽古した時、反射的な攻撃であれば非常に強いと言われた。返しを行う前に、十分な間合いをとって後退すると、返しは難しいし反射的ではなくなる。前進することなく突ける最大限の距離で行うのが良い。滝沢の返しは、二人の先生が言わんとしていたことを具現化したものだったと思う。
3分5秒、滝沢の3連続突きから一本が決まる。返し技がいかにパワフルかを知ることができるだろう。松浦は最初の二つの突きを躱したが、その際にバランスを崩し、結果的に滝沢に一本を許した。
この試合のように、超人的に速い選手を素晴らしい技で抑えられるというのは、良い勉強になる。滝沢は試合の間中走り回っているわけではなかった。私は若くないし怠け者だから、その作戦で勝てるのを見られて良かった。彼を真似しようと思う!
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