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男子個人戦:第51試合 シニアの部

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コメント:サイモン・ラースン

 

今回は、シニアの部からの試合をお届けする。全日本短剣道大会は、銃剣道のように「一般」「空自と海自」「陸自」に分けてあるのではなく、「35歳以下」「36歳~50歳」「51歳以上」というように年齢分けされている。

 

久恒先生は初一本胴が大好きだ。稽古する時、彼はいつも私に対してそれを狙ってくるし、成功した時は本当に嬉しそうだ。しかし、この試合では、それをやらず、相手の阿部選手に攻撃を許した。阿部の足捌きは大きなステップを使っており、踏込みのとき足が高く上がることから、剣道の経験があるのかもしれないと私は思った。久恒先生もそれを承知しており、それを有利に使おうとしていたと思う。先生の喉突きは非常に良かったと思うが、残心の点で一本に及ばなかったのだろう。上に上げた腕が面を防御しているように見え、そののために一本とならなかったのかもしれない。あるいは、腕が十分に真っ直ぐではなかったからかもしれない。

 

過去の短剣道セミナーにおいて、「面の残心」については他と違うということが強調されていた。面を打った後、決して短剣を高く上げないよう繰り返し言われたのだ。このことから、私は皆に面を打つ稽古の時は、残心に注意を払うよう伝えてきた。打った高さから変えずにやるか、あるいは中断まで下げるようにと。このことについては、我々は頻繁に言われているが(皆あまり面を打とうとしないけれど)、審判たちもこれに関しては頻繁に言われていると思う。

 

最初の攻撃で、阿部は剣道スタイルの面を見せた。非常に少ない動きの中で、手首を効かせて弾くように打つやり方だ。これにはがっかりさせられた。面は大きくあるべきである。最初から大きく腕を持ち上げ、頭の上から打つべきだ。

 

とにかく、私が面についてどう考えているかは皆さんご存知だろうから、とりあえず「難しいから面をやめて、胴への攻撃の稽古に打ち込もう」と言っておこう。鍔迫り合いからの引き面は、時々は有効だが、個人的にはただ単に安全なテクニックと言えるぐらいのものである。

 

阿部は体格が良く、制体技を使おうとした久恒の試みは、一本を取れるほど相手のバランスを崩すことにはならなかった。制体技から一本を取ろうとしたら、相手のバランスを完全に崩さなければならない。久恒のように素早い動きをする選手は、制体技で相手のバランスを崩すのが得意である。久恒はよく胴を突いてから、私が防御のために体勢を崩しているとき、素晴らしい制体技を使うのだ。私の体勢が悪いため、彼は制体技の時に余分な力を使わなくて良いし、素早くできるというわけだ。もし制体技が好きで、速く動けるなら、試す価値があると思う。エバはこの練習をした時、胴と制体技の最初の掴みの間に腰を素早くスムーズに旋回させ、私の腕を掴んでバランスを崩させているので、突く瞬間の腰の捻りは、それほどスピードが必要なかった。

 

自分の短剣を落とすと反則になることを忘れずに! もし落とした時は、片膝を床について拾うこと。

 

試合再開直後、久恒はもう一度阿部の大きな足捌きを材料に、試合を有利に進めようとし、今回はそれが成功した。踏込みは同時だったが、久恒は細かく低い足捌きを使っており、突きは彼のほうが早く入った。

 

二本目を開始。久恒の突きが一本にならなかったことは、両者とも驚いたと思う。私なりに考えたその理由は、久恒の姿勢が相突きを受けているかのように見えたからではないかと思う。大柄な相手が突き進んできたところに突き返す場合、姿勢を保つのは難しい。相手の体重で、肩の位置がずれ、腕が弱くなり、結果姿勢が悪くなってしまう。十分な半身になっていなければ、肩の靭帯を怪我する恐れすらある。私の経験から言うと、肩の靭帯を痛めると完治するまでにおよそ1年はかかる。それを考えて、半身を練習しよう。

 

最後の一本は、やはり阿部の足捌きが大きく遅かったために、久恒が取った。

 

踏込みのとき、前足を上手に低く使うことと、小さな足捌きを多く使うこと。この2点の大切さを思い起こさせてくれた試合だった。

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