ASEANでの第一回短剣道セミナー

エミリー・ジャックマン

 

8月の横須賀でのセミナーの時に、銃剣道と短剣道を自国に広めようと世界中から集まった素敵な人たちと出会うことができた。マレーシアの浜千鳥道場から来たケリーとエドウィンにもその時に知り合ったのだが、10月のクアラルンプールでのセミナーに参加すべきだという種は、その時すでに私の中に植え付けられていた。

 

タイミングとしては良かったが、私自身が11月と12月に主催する2つのセミナーの準備で忙殺されていることもあり、実は行けるかどうかわからなかった。しかし、行くべきだと心の中に植え付けられた種は着々と成長しており、真剣に考えずにはいられなかった。

 

反対:これから主催する自分自身のセミナーを二つも抱えてるのに。賛成:だいたいの準備は整ってるじゃない。

 

反対:また仕事を休まないといけない! 賛成:有給がまだ残っているし、マレーシアは例えばポーランドよりはずっと近いから2日休むだけだし。

 

反対:なぎなたのグループレッスンに、私が講師なのに休むわけにいかないわ。賛成:上手な先輩の生徒たちが、その週末は喜んで代理を務めてくれると思う。

 

反対:お金かかるな。賛成:メルボルンからマレーシアの航空券は高くないし、為替相場のおかげで安く旅できるはず。

 

どちらに気持ちが傾いているのかは一目瞭然だ! 24時間の間に「行かない」つもりから「航空券と宿を予約して、ワオ、私本当に行くんだ」に気持ちがシフトしていった。私が行くと決めたことを知らせると、ケリーは親身になって常に情報をアップデートしてくれるなど、いろいろな面で手伝ってくれた。彼らはホテルではなくセミナー会場の近くのエアビーを予約していた。エアビーの部屋はコスパが最高で、いろいろな点でホテルよりもずっと良かった。私は結局、素敵なスタジオタイプの部屋を予約したのだが、3泊で174ドルだった。最高にハッピー! 部屋のホストが、空港までの行き帰りの車の手配も手伝ってくれたので、事前に運転手の名前や車種、それからいくら払うのかわかっていた点も良かった。

金曜日の夜、マレーシアの人たちがエアビーまでピックアップを手配してくれて、ディナーに行った。そこには、佐藤先生、小川先生、千葉先生、軽部先生、バティスト先生が来ていた。皆さん横須賀セミナーに参加されていたので、楽しい再会となった。クアラルンプールの暖かい夜、私たちは軽めの食事を楽しんだ。普通ならまだまだ宵の口ではあったが、明日からの2日間のセミナーに備えなければならないので、早めにお開きとなった。

 

土曜日の朝、私は風に漂う朝の祈りの音で目覚めた。静寂の中に流れるその歌はとても美しかった。朝食は先生方とエアビーの近くで取った。朝食に飲茶を食べたのは初めてで、非日常の良い経験となった。よくある餃子や、定番のおかずの他に、今まで食べたこともないものがあった。それは、鳥の足! 自分では絶対選ばない品だが、新しいものに挑戦せずして旅の楽しさはない! 好みとは言えないが、鳥の足のコラーゲンが肌に良い作用を与えてくれるだろう!

朝食のあとは、防具を準備してセミナー会場であるPAUMへ。美しい建物で、ラッキーなことにエアコン完備だった。参加者は約20人、マレーシア、台湾、ブルネイ、そしてオーストラリア(私)から来ていた。開会式を行い、紹介とウォームアップのあと、すぐに短剣道の基本稽古に入った。初めての参加者が多かったので、基礎を行なったが、メルボルンで教える立場になる私としては、教え方という点でとても参考になった。他の人に教える時にいつも心配なのが、何か大事なことを伝え忘れていないかということである。だから、改めて通しでおさらいができて良かった。午前中は主に形を中心に、初心者と経験者をグループ分けして行った。先生方の指導のもと、短剣道の形のテクニックや技の細部に磨きをかけられたのは良い機会だった。

 

昼食の後は、部分的に防具を身につけ、短剣道のテクニックを稽古した。私たちの弱点の一つである足捌きを、より早くシャープにできるように練習した。後ろ足を引き摺るのなら簡単なのだが、短剣や銃剣では、できるだけ素早くバチンと音を立てなければならない。そうすることによってバランスが保てるし、正しい間合いが取れるようになるのだ。ふくらはぎの痛みは、たとえ足捌きがまだまだだったとしても、少なくともたくさん練習したということを証明している。

 

佐藤先生が私たちの基本の構えを直してくださったのも有り難かった。特に中段入り身について。私たちの多くが、腕を近くに構えすぎる傾向にあるが、木銃の長さと合うように、腕は長く伸ばすように、先生は指導された。

 

小手を打つ練習では、剣道で小手を打つときほど強くてはいけないと先生は仰った。短竹刀のほうが竹が硬く、打った時に剣道の竹刀よりも衝撃が強い。剣道の竹刀は長い分少ししなやかなのだ。2日間で私の手首にはアザができていた。アザを見れば、小手を打つときは力を加減することを思い起こすだろう。

1日目のセミナーも残り1時間ぐらいになろうとした頃、銃剣道の稽古が始まった。こちらも初めて人が多かったので、基礎から行うことになった。私としては、初心者のために動く標的となれたことが嬉しかった。元立ちを務めるとき、どうやって良い隙を作り相手に良い突きをさせるかということが、深く筋肉に刻まれたと思う。

 

午後5時に稽古を終了し、一旦エアビーまで戻って小休止したら、ウェルカム・ディナーである。オープンエアの中華レストランで、美味しい食事とお酒が待っていた。途中から酒飲みゲームが始まって、私が言えるのは軽部先生の周りに座らないようにってこと。軽部先生がゲームに勝ったら、飲まなきゃいけないんだから!

 

銃剣道経験者には、日曜日の朝7時から9時の間(短剣道を行う前)に、特別に稽古が行われることになった。前夜の酒は、早朝からの良い稽古ですっかり抜けて行った。我々の足捌きは、足を高く上げてしまいがちなのを見て、佐藤先生は次のような練習を行った。短竹刀または小太刀を左足の前の床に置いて、それに足裏が触れるか触れないかのところで左足を出しながら突きを行うという稽古だ。これを行うときの私からアドバイスは、小太刀を選ぶこと。短竹刀は床を転がってしまうことがあり、注意が必要だ。

 

2時間があっという間に過ぎ、その後、他の人たちが来てから、短剣道の稽古になった。防具を全て身に着けての稽古で、基本を通してやり、反復練習の中で技を高めていった。その後、地稽古と掛かり稽古を行った。昼食前には異種試合のセッションがあって、木銃対竹刀、短剣対竹刀、なぎなた対木銃の試合をしたり観戦したりした。違う武器同士で競い合うのを見るのはいつでも興味深い。

昼食の後は、段審査に向けて練習した。審査を受けない人も何人かいたが、彼らにとっては、初心者が級を取得するのを手助けする良い機会となった。この日の午前中の練習で、皆素晴らしく上達したし、格段に熱心さが増したと思う。

 

セミナーの終わりは、いつもほろ苦い気分になる。二日間ではあるが、非常に濃い時間を過ごしたのだ。新旧の仲間たちと一緒に学び、笑い合ったが、現実に戻る別れの時はすぐに訪れてしまう。ケリーとエドウィン、浜千鳥道場の皆さん、全日本銃剣道連盟と先生方には、この素晴らしい機会を与えてくれたことに心から感謝している。皆さんと、またすぐに再開し稽古したいと願っている。

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テーマ: Baskerville 2 by Anders Noren

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