サイモン・ラースン
この大会は一本勝負。銃剣道の試合ではありがちだが、非常にストレスがかかる(少なくとも私には)。完全に準備できた状態で試合場に入らなければならない。もし少しでも躊躇いや自信のなさがあれば、相手に簡単に一本取られてしまう。
この二つの試合からわかるように、決して待ってはいけない。初一本が尊重され、審判はそれを待っているようだ。これは銃剣道と短剣道の心構えをよく表していると私は思う。これまで経験してきた他の武道では、試合のはじめからこれほどまでに「稽古したことを信じて、全力で攻撃する」ことを求められるものはなかった。私がやったことのある武道も、あるいは試合を見たことがある他の武道も、最初は「少し間合いを取り、相手の出方や様子を見る」ということから始める。銃剣道を始めてからは、このアプローチの仕方を使うと、「何がどうなって打たれたのか」をひたすら考える結果となることがわかった。
そうは言っても、自分より速く上手い人が相手になることもままあり、初一本が取れないこともある。そんな時は、プレッシャーをキープすること。一つ目の試合でのエバの対戦相手は、彼女より速かったが、エバが即座に反撃したことにより、エバは川口に試合を支配させることを許さなかった。エバは後退したり、防御したすぐ後に、反撃をしている。
結果、映像1分の時点で、エバは一本を取った。彼女が第一稽古の高速バージョンを試合に応用しているのがわかるだろう。良い稽古の結果が現れていると思う。
三番目の試合は、反撃についての重要な面が見て取れる。私としては、反撃は静的なものではいけないと思っている。試合中、私は何度もただ立ったまま反撃したことがあるが、一度も一本を取れなかった。審判は、動きのない選手に一本を与えるのをあまり好まないように思う。ゆえに、とにかく動き続けること。相手にプレッシャーを与えていると感じられなかったとしても、結果は付いてくる。
竹内は初一本を狙ってプレッシャーをかけたが、次にスピードを緩め、吉田の攻撃範囲外に出た。初めのプレッシャーによって、吉田の攻撃を誘い、そして裏払いで反撃した。
24秒に、エバもこれをやろうとして失敗している。違いは間合いの感覚だと思う。竹内は払いのあとに攻撃するための間合いを十分に取っていた。エバは相手を近づけすぎた。間合いの微妙な違いを会得する練習は多々あるが、私のお気に入りは(裏払いよりやや進んだテクニックではあるが)山口先生の練習である。ぜひ下記リンクからチェックしてほしい。
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