稽古の基本: 右の払い突き

技そのものを指すときは「右の払い突き」、号令は「右を払え突け」となる。

 

26秒から、寺田先生はこの技の基本を見せている。木銃を前に出し、素早く構えに引き戻す時に相手の木銃を払って、そこに出来た隙を直ちに突いている。

 

大抵の基本の技における動きは、その技の本質を強調するために、試合で見せる動きよりも大きいものになる。払いにおいて重要な要素は次の通りである:

 

相手の木銃を払うときは、木銃の「刃」を使う。銃身の側面を使うと効果的な払いにならない。木銃がスライドして正確なターゲットを外し、相手の構えに衝撃を与えることができないのだ。45秒から、寺田先生の相手に対する木銃の角度がはっきり見ることができる。この角度をつけることによって、刃で払うことが容易になる。刃を使った良い払いは、銃身の側面で払った時とは違う音がする。

 

木銃の動きは、払った直後、できるだけ払った瞬間に止めることが望ましい。木銃が中心線を越えると、相手に隙を与えることになるからだ。相手が払いを躱した場合は特にそれが顕著になる。払うための下向きの動きが終わった時には、構えに戻っているのが理想的である。24秒時点で、ルーカスはこれが出来ているが、27秒では出来ていない。 

 

払いの最初の動きは、木銃を前上方に上げる。前の肘を曲げて木銃の剣先を真っ直ぐに持ち上げてはいけない。木銃は前に出し、相手の後ろ肩のやや上に上げる。真っ直ぐ上に上げると、ただ前の手で押して払うことになり、弱い払いになる可能性がある。そうすると、前の手が緊張し、素早い正確な突きが困難になる。また、前の手を使うことは、突きのために使える距離をしばしば短くしてしまう。

 

映像の1分の時点で、私は筋肉にこの動きを記憶させるためのエクササイズを行なっている。エクササイズをしている間は、常に前の腕を同じ形で保ち、後ろの手で押したり引いたりすることに集中している。1分22秒、後ろの手が前に出ておらず、体から離れている。さらに前の肘が曲がっていることによって、クララの攻撃に隙を作っている。

 

相手の木銃を払うときは、相手の前の手になるべく近い所で払う。木銃の先の方を払った場合、十分な隙が生まれない可能性が高い。前の手の近くを払ったほうが、より隙が出来やすくなり、相手にとっては素早く態勢を立て直すのが困難になる。

 

私たちは気合いに関して二つのやり方を学んだ。一つは、払うときと突くときともに発するやり方である。初めの気合いは短く発する。これは払いを鋭く、また相手の木銃に対して決定的な打撃を与える手助けをするものと思われる。もう一つのやり方は、突きのときだけ発するやり方である。なにはともあれ、突きは大切だからだろう。

 

足捌きについては、様々なものがあり、それぞれに利点がある。

 

一歩:これをスムーズに行うことは最も難しいだろう。払いと突きを通常の一歩の間に行う。これを正確に行えば、明らかに最も速い攻撃となる。しかし、相手との距離が最短になるため、払いをしている時に相手の攻撃圏内に入ることになり、もし動きに瑕疵があれば、相手に一本を取らせるチャンスを与えることにもなる。

 

一歩半:私の好きな足捌きだ。払いの動きの途中、前に木銃を出したところで、後ろ足を前足に引き付ける。そこで払いを行い、突く時に一歩前進する。これが好きなのは、より距離を詰められるし、相手が隙に付け入るチャンスは少なくなるからだ。正しい姿勢や構えを保てる限り、このように後ろ足を引き付ける動きは非常に有用であり、この半歩は効果的である。

 

二歩:払いの際に一歩前進し、突きでもう一歩を出す。初心者が学びやすいやり方であり、これが効果的でないわけではない。一歩進みながらの払いは、相手の木銃を払う時により大きな力を与える。私はこの一歩目を非常に小さく出すようにしている(そうしなければ、突きのためのスペースが小さくなるからだ)。払いを受けた相手が、構えに戻ろうとする時、この小さな一歩によって、相手の裏に隙を作ることになる。

 

練習:

基本の払いの練習のため、私たちは直突三本に似た三本の突きと、ビデオの最初にあるような遠間での練習を行っている。遠間は、攻撃と攻撃の間、元立ちが間合いをはかり、二本行う。

 

受け方:

受け方は表と同様である。特に掛かり手が初心者の場合、払いを受ける際には、相手の払いに合わせるのではなく、木銃に一貫した同じ強さ・抵抗感を持たせること。木銃をセンターから外さず、掛かり手に払わせ、隙を作らせることを学ばせるようにする。

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