基本の突き
表(銃):相手の上胴への直接の突き。この突きでは、攻撃する側を何ら妨げるものはなく、真っ直ぐのラインで突く。稽古では、通常元立ちが左側をやや開けて掛かり手が真っ直ぐに突けるようにする。掛かり手への初めの号令は通常「突き」。次に続く突きへの号令は「同じ」。
裏(銃):掛かり手にとっては、本質的には表と同じである。違うところは、表とは逆に、掛かり手の木銃は元立ちの手首の上を交差する。元立ちの手首は外側にあり、突きの通り道を確保している。元立ちは木銃の先を右やや上方に動かし、掛かり手の木銃が真っ直ぐに突けるようにする。初めの号令は通常「外せ突け」。次に続く突きへの号令は「同じ」。
下(銃):掛かり手にとっては、本質的には表と同じである。しかし、掛かり手の木銃は元立ちの腕および木銃の下を通って下胴を突く。元立ちは掛かり手の木銃をやや上方から右に小さく掬い上げるようにして正しい隙を作る。攻撃の号令がかかったら、元立ちは前の腕を前方右に伸ばす。掛かり手への初めの号令は通常「下を突け」。次に続く突きへの号令は「同じ」。
小手(銃):掛かり手にとっては、本質的には表あるいは裏と同じである。心臓を狙っての真っ直ぐの突きである。しかし、この突きに対し、元立ちは手首でその突きを防御する。掛かり手への初めの号令は通常「小手を突け」。次に続く突きへの号令は「同じ」。
喉(銃):喉への突き。相手が自分より小柄でない場合、木銃はやや上方に突き上げる。元立ちは顎を下げ、喉突きを踏まえて補強された銃剣道用の面で突きを吸収する。
胴(短):胴への突き。基本的には、剣先が滑らないように、胴の上部(胸とパイピングしてある部分)を狙うべきである。手首は竹刀より低くなるよう角度をつけて持つ(フェンシングのように、水平に突くのではない)。
小手(短):掛かり手は、短剣を自分のセンターラインに上げる。手は目線の位置。打つときは、竹刀はほぼ水平にし、竹刀のラインよりも右手首が上になるようにする(剣道とは逆。切るというよりは、押し砕くイメージ)。
面(短):頭部への攻撃。短剣道では、面への攻撃は頭の前面というよりは少し後ろ側になる。竹刀は体の中心線上かつ頭の上にあり、切先は後ろに向いている。小手と同様に、竹刀はほぼ水平にし、竹刀のラインよりも右手首が上になるようにする。手首は上方に向ける(剣道とは逆。切るというよりは、押し砕くイメージ)。
喉(短):喉への突き。胴(手首は竹刀の下)と面(手首は竹刀の上)とは逆に、手首と竹刀は通常だいたい真っ直ぐのラインになる。
基本の攻撃 号令/パターン
直突(銃):例)直突三本(表を3回)。元立ちは突かれるときに衝撃を吸収するように小さく1歩退がる。各突きの後、中段に戻る。元立ちは抜きながら小さく2歩後退し基本の間合いに戻る(木銃の先が10センチの位置で交差)。
号令「突け、同じ」:元立ちは掛かり手に号令。直突三本であれば、元立ちの号令は「突け、同じ、同じ」。稽古の最初と最後はだいたいこの練習で開始・終了となる。
第一稽古(銃):連続した突きの練習。基本の順序は、表、裏、表、下、喉(面をつけていないときは、安全を考慮し、最後は表になることもある)。各突きの後、元立ちは、習技者が抜くときに一歩後退し、次の突きへの隙を作る。元立ちの動きは小さく、木銃の立てる音をなるべく少なくする。
号令「第一稽古はじめ」:元立ちは間合いの外から始める。木銃の先が10センチで交差するで、「第一稽古」と発し、基本の間合いに入るや「はじめ」と号令する。第一稽古は(直/下/脱突三本とは違うが、「続いて突け」と同じようにやる)元立ちが各突きの後2歩ではなく1歩後退する。大抵の練習では、元立ちは突きを受けた後、小さく2歩後退し基本の間合い・構えに戻るのだが、第一稽古では、衝撃を吸収するときに小さく一歩下がるやり方と同様に後退は1歩である。
脱突(銃):通常は、裏の攻撃の練習に使われる。例)脱突三本(裏、それぞれの突きの後、3回中段に戻る)。元立ちがタンポを右に動かすことによって木銃が真っ直ぐに通れる道を作る
ので、掛かり手は木銃を下げずに突く。足さばきは両者とも直突と同じ。
号令「外せ突け、同じ」。(直突参照)
胴を突け(短):短剣道での胴への基本的な突きの号令。よくある練習が「胴を突け三本」。基本として行う場合、元立ちは各突きの間に小さく2歩後退し、間合いを保つ。
号令「胴を突け」。
左面を打て(短):短剣道の基本的な攻撃である左面への攻撃の号令。
移動間(銃):動きながら突くパターン。掛かり手、元立ちともに、試合のように動き、引き抜きの後は残心を示す。
入り身はじめ(短):入り身し、鍔で相手の鍔を捉える。
入り身制体はじめ(短):入り身し、相手のバランスを崩す。
~入り身制体突き(短):入り身し、相手のバランスを崩して突く。号令は「左/右/上入り身整体突きはじめ」
下突(銃):通常、下を突く練習のこと。例)下突三本(下、それぞれの突きの後、3回中段に戻る)
小手を打て:小手突きへの号令。
面を打て(短):短剣の基本的な攻撃である面への攻撃の号令。
右面を打て(短):短剣道の基本的な攻撃である右面への攻撃の号令。
喉を突け(短):短剣道の基本的な攻撃である喉への攻撃の号令。
同じ:同じ動作を繰り返す号令。
下を突け(銃):練習の時に下への攻撃を促す号令。
突き流し:走りながらの攻撃。突きをしてから追いかける。号令「喉を突け前へ」あるいは「胴を突け前へ」。
続いて~を突け:連続動作。例)通常の間合いから3本突き、4本目は遠間合いから突く。4本目は元立ちは隙を作らない。「続いて喉を突け」や「続いて胴を突け」という元立ちの号令に従い攻撃する。
続いて面を打て:面への連続攻撃。例)通常の間合いから3本突き、4本目は遠間合いから突く。4本目は元立ちは隙を作らない。どちら側の面を狙うのかは、「続いて左面を打て」や「続いて右面を打て」と元立ちが号令をかける。
打ち流し:走りながらの攻撃。打ってから追いかける。号令は「面を打て前へ」や「小手を打て前へ」。
武器の部分の名称
剣先:武器の先端部分
先革:武器の先の革
床底(銃):木銃の下(底)の部分
鎬地(銃):鎬と峰の間の部分
タンポ/剣先(銃):木銃の先
突起部(銃):木銃の「トリガー」となる部分
鍔(短):短竹刀の手をガードする部分
柄(短):短竹刀の持ち手
蔓(短):短竹刀につけられた紐
一般/その他
防具:垂、胴、面、小手からなる。短剣道と銃剣道は、大布団?/裏布団/布団もある。銃剣道は指袋と肩も使う。
中段の構え:銃剣道は、左足前、木銃の剣先は相手の胸に構え、剣先の延長線上に相手の目が来るよう構える。短剣道は、腕を前に出し、剣先が自分の心臓の高さになるようにし、剣先の延長線上に相手の目が来るよう構える。
中段入り身の構え(短):攻撃の姿勢を示した中段の構え。腕を伸ばし、剣先が左を向くように角度を付ける。
踏込み:足を鳴らして踏み込む。剣道のように高く足を上げず、前へ滑るように踏み込む。
下段の構え:剣先が相手の膝に向くよう構える。
半身:横向き。
払い:相手の武器を払う。攻撃にも防御にもなる。
引き抜き残心:攻撃の後に行う残心を示す動作。
紐:ひも。
移動間:動きながらの攻撃。両者が試合のように動きつつ、引き抜き残心を示す。
上段の構え:短竹刀を頭から拳一つ分離して、頭の上に上げて構える。
構え:ポジション。
基本:通常、基本の攻撃と足捌きが含まれる。
間合い:練習や試合が始まる前の、両者の距離。銃剣道は、木銃の先が10センチ交差する場所。形は互いに9歩離れた場所から始める。短剣道は、剣先がほぼ触れる距離だが、交差はしない。
右の払い/左の払い:隙を作らせるために、相手の武器を右か左に払う技。払いの後はすぐに武器を止め自分のセンターを意識しないと、逆に隙ができてしまう。
流し:走りながらの攻撃。例)前に数歩走りながら突く。
直れ:開始のポジションに戻る。
抜き:構えに戻る。
連続:連続した攻撃。通常、号令は「続いて突け」。
正中線:体の真ん中を示す縦のライン。前傾になったりバックバランスになったりしないように意識する。
攻め:攻撃のプレッシャー
仕方:技を行う人。
締め/締める:突きが入った時、グリップ・ポジションともに締める。初期のビデオ参照(https://jukendo.world/en/2017/09/28/basic-strike-technique/)。後ろ肘、木銃と胸を全てぎゅっと締める。銃剣道ワールドサイトでのサイモンのコメントは次の通り。「壁に向かって走り突きを行うとき、もし突いた場所から木銃がスライドしてしまう場合は、締めが足りない」
下胴(銃):胸の下部。打突部位。試合では有効打突部位。
擦り上げ(銃):相手の打ちを利用した防御の払い。
打方:技を始める人。
上胴(銃):胸の上部。打突部位。試合では有効打突部位。
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