第48回全日本青年銃剣道大会個人戦女子の部 一回戦 第四試合 ミライ対アヤナ

コメント:サイモン・ラースン

試合について私の思ったことを述べていくが、私は銃剣道の正式な審判ではない。

赤は試合開始直後から積極的に攻めていた。最初の攻撃で、間合いの4分の3の距離を詰めた。その間彼女の構えには殆ど隙がなかったため、白は為す術がなかった。私の考えでは、実力が拮抗している場合、駆け込んで来る相手をただ立って待つのは、賢い作戦ではない。

白は勢いを取り戻そうとした。しかし、攻め込まれ後退せざるを得ない時は、どうしても前進してくる方の勢いが勝るし、技術的に同じようなレベルの相手であれば、前進で突っ込んでくる方が有利である。

56秒の分かれは、試合が膠着するのを審判が感じたからだろう。膠着状態にあるとき、良い銃剣道はできない。銃剣道では、同場面のような膠着が10秒以上続く場合、両者ともに反則を取られることがある。しかし、今回の場合は、良い試合をするよう促す警告にとどめられた。

2回目の攻撃では、白は同じミスを犯さなかった。二人は中央でぶつかり、赤は相手の攻めに後退を余儀なくされた。赤はテクニック面でやや劣っているように見受けられた。だからこそ白に距離を取らせず常に攻撃されないようにして、試合に勝とうとしたのだと思う。私の場合、この戦術を使われると、勝つのが非常に困難である。息苦しいまでに圧倒され、防御に回るしかなくなった結果、大抵は自分の愚かさに負けるのだ。

白は容赦ない攻撃を繰り返すわけではなく、落ち着いていた。1分22秒から、払い技を使い始め隙を作っている。赤は最早撃ち間に下がらず、即座の攻撃を返して来ることもない。後退は脅威となるには近すぎ、白は最早圧倒されてはいない。

1分38秒の突きが試合の転機となった。白は後退したにもかかわらず、フットワークは完全に次の前進と攻撃に備えられていた。赤は攻撃の時に木銃の先を落とすというミスを犯し、白は赤の木銃の上から水平に突いた。赤も同時に突いたが、狙いは上過ぎで彼女の後ろの手は低過ぎた。私なら白に一本与えたかもしれないが、おそらく残心はあまり良くなかった。白は攻撃後の構えが赤を脅かすほどではなく、むしろ、佇立したままバランスを欠いているようにすら見えた。

そうは言っても、このことが赤の絶え間ない攻めに付け入る自信を白に与えたのだろう。1分43秒、白は小さい後退で赤がいつも勇んで攻め込む距離にくると、先程と同様に赤の下がった木銃の上から突きを繰り出した。そして今回はしっかりと残心を示した。

赤の木銃を下げる癖(2分6秒、2分9秒に見られる)を見抜くと、白はそれを利用して二本目を取った。

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