クララの銃剣道の旅 65〜69日目

2017年9月24日(日)

稽古のためにどこかに出かけようとした計画はうまくいかず、結局久恒先生の道場にお世話になった。そこは疑いようもなく、この辺で一番眺めの良い「屋上道場」である。予定通り、たん剣道の基本から地稽古までを行った。広さは十分だったが、近所の人たちの迷惑にならないように、気合いの声注意し、手すりから落ちないように気を配らなければならなかった。

私は未だに短剣(クラウディアの言うところの「短い刺す物」)を扱うときに幾つかの問題を抱えている。私の心は銃剣に奪われているが、短剣についてもようやく何かを掴みかけている気がする。もちろん、まだまだ練習が必要で、数十年後にはより本能的な反応ができるようになるだろうが…まあ、これも人生だと思う。全日本短剣道選手権大会が2月に行われる(先生曰く、銃剣道のシーズンは終了している)ため、エバとサイモンは短剣の集中稽古を行っている。全然羨ましくない!

 

2017年9月25日(月)

全ての道場の中でも最大の道場では、速いスムーズな動きを練習するのに適している。銃剣道と短剣道は、ダイナミックで、飛び跳ねない足の動き、小さく俊敏な足捌きを多用する。強い構えが求められるが、硬くもなく緩くもなく構えるというのが難しい。構えが硬すぎたり緩すぎたりすると、木銃が弾んでしまう。そしてほんの少しの余分な動きが突きの精度を損なうのだ(敵側から見れば、これは有利なことだけど)。踏み込みは、素早く大きな歩幅で行うべきであり、急加速し、殆ど飛び込むように踏み込む。腕と体を前進させることによって、腕だけを使った突きにはならない。これを正しく行うコツは、技にかける気持ちとバランスである。それによって、自分の体のポジションを幾度も修正することなく、相手に猛追したり素早く後退することができるようになる。途中には幾つもの落とし穴があるが、正しい道を見つけるためには自分への挑戦が必要である。速くスムーズなフットワークは力強い突きを生むだけでなく、素早い方向転換にも使えるし、良い残心にも必要である。基本のテクニックは様々な間合いを取りながら練習するが、即興で変化を与える練習も必要であろう。いつもの同じやり方や同じ回数、同じ距離に慣れてしまわないように。正しくやろうとして、失敗することもあるだろう。そんな時はみんなで笑ってやり過ごそう。特に、遠間で狙って突きを外した時、誰もいない空間に突きを繰り出した時にはね。イェイ!

今日は、銃剣道ワールドのために、形を録画した。銃剣道が世界中に広がるにつれ、これから付加的な手引きを必要とする人たちが増えるだろう。書いて表現することには限界があるが、ガイダンスが必要な人のために、ブログはできる限り詳細なものになっているし、元立ちのパートを含む大切なことを盛り込んでいる。個人的には、武道に関しては、私は形オタクだ。多分他の人たちと同じように、高段者のビデオを見て自分のできないところをチェックしている。近くに先生が居ないなら、ビデオや写真、マニュアルに頼るしかない。だから私は銃剣道ワールドに心から協力したいと思っている。銃剣道ワールドの目的は、最高の銃剣道の現場から、最も正しいやり方を世界中に発信することなのだ。

 

2017年9月26日−27日(火−水)

2日間の休みを取って、日本の首都を見物した。東京は、目の中がいっぱいになっちゃうぐらい、クレイジーな都市として知られている。自分の変な頭に合う面を買うために、武道具の店に立ち寄った。

結果わかったことだが、私には子供の面(ティーンエイジャーですらない本当の子供の面)が合うようだ。しかし、小さな子供の面を手に入れることは難しく、店の人の勧めに従って、一番小さい大人用の面(これはいい感じで、私にとって初めて物見からちゃんと外側が見えた)を買いカスタマイズしてフィットさせることにした。私の初めての防具である。すごく嬉しい!

 

2017年9月28日(木)

今日は主として銃剣対銃剣の形に磨きをかけた。間合いに注意しながら、形が終わる時に木銃の剣先がセンターラインにあることに留意する。打方と仕方が交互に行う二歩半と三歩の違いにも注意する。稽古の前に床に貼った線に、私はやや混乱気味だった。私は床の目印ではなく、いつもパートナーに合わせるようにしているため、練習する度に、パートナーとの距離は変動しがちである。

とにかく、これは重要なレッスンだった。私は、悪い癖を克服するために、正しい距離についていつも考える必要がある。形の一つ一つのフォームは他の武道と比べて複雑ではないが、多くの細かな重要要素があり、それができないと動きに大きな影響を与え、しくじってしまう。打方が失敗すると、仕方は正しい動きができない。コネクションが非常に重要で、大変な努力を要する。先生の「オーケー」には、たいがい「でもね」が続く。私はその「でもね」が好きだ。それこそが私を上達させてくれる。

 

2017年9月29日(金)

今日は、昆野先生が稽古に参加され、新しいこと(あるいは、同じことに磨きをかけたと言うべきか)を教えてくださった。先生は将来ポーランドを訪れる予定なので、良い関係を作っておきたいと思う。私は、稽古の最初の部分、ウォームアップと基本動作を受け持った。私は練習の組み立てなどにも少しずつ自信が出てきた。例えば、二段技や三段技は、全ての組み合わせが簡単にできるわけではない。特に、稽古のはじめに、みんながウォームアップを必要としている時などは、やりやすい組み合わせを考えなければならない。

私たちは即座に動きを直される(たいていはエバとサイモンに。彼らは「何やってんだ?」的な表情で私たちを見ている)。それにしても、数日後には、私たちが指導する立場になるのだ。昆野先生は、間違いを見つける素晴らしい目を持っていらして、私たちの間違いをその場で修正してくださる。私は、一緒に稽古をしてくれたそれぞれの人たちを心から愛している。新しい練習は、私たちにこれまで稽古してきたことを理解させる良い機会となった。そしてそれら全ては、特別素敵なわけでもなく、難しくもない核となるテクニックに基づいている。

 

これは、銃剣道ワールドの翻訳者でゲストライターのクララによる目下進行中の連載である。銃剣道を始めたばかりの彼女と、彼女のパートナーであるルーカスが、3ヶ月に渡る日本滞在の中で、銃剣道の稽古をしていく様子を定期的に投稿する。

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